一時的置き場
Category :
こむぎSS
「一哉が使っていた玩具もあるし、貴美子のお人形とかもあるわよ。そうね、お人形で遊びましょうか?」
「おにんぎょう……?」
蘭の言葉は幼子の琴線に触れたらしい。おずおずと一哉を見上げて来る。
「かずやおにいちゃん、いい?」
「……あぁ」
幼子に意思確認をした以上は仕方ない。渋々うなずくと、幼子は嬉しそうに笑う。
「じゃあ、用意させるから、待っててね」
そう言って、メイドに色々と命じる祖母の姿に一哉はあの祖母にして、あの母あり…と詮無きことを考えてしまう。
「おまたせ、むぎちゃん」
「わぁ……」
様々な人形やドールハウスに幼子の瞳が輝く。
「これ、おばあちゃんのなの?」
「そうね、私のもあるけど、貴美子…一哉のお母さんのもあるわ。貴美子が作った洋服もあるのよ」
「すごーい♪」
蘭の説明に楽しそうに幼子は聞き入る。
「何ていう顔をしとる」
「……何がですか?」
義武の言葉に一哉は怪訝そうな顔をする。
「さっきのお前の言葉じゃないが、鏡を持ってきてやろうか? 自分の祖母を相手におちびさんを取られたと不機嫌になってどうする……」
「……気のせいでしょう?」
まさしく指摘どおりではあるが、一哉がそれを認める訳ではなく。義武は溜め息をつく。
「こりゃ、将来、娘ができた時が見物だな」
楽しげな祖父の表情に一哉は眉間の皺を増やすばかりであった。
「おにんぎょう……?」
蘭の言葉は幼子の琴線に触れたらしい。おずおずと一哉を見上げて来る。
「かずやおにいちゃん、いい?」
「……あぁ」
幼子に意思確認をした以上は仕方ない。渋々うなずくと、幼子は嬉しそうに笑う。
「じゃあ、用意させるから、待っててね」
そう言って、メイドに色々と命じる祖母の姿に一哉はあの祖母にして、あの母あり…と詮無きことを考えてしまう。
「おまたせ、むぎちゃん」
「わぁ……」
様々な人形やドールハウスに幼子の瞳が輝く。
「これ、おばあちゃんのなの?」
「そうね、私のもあるけど、貴美子…一哉のお母さんのもあるわ。貴美子が作った洋服もあるのよ」
「すごーい♪」
蘭の説明に楽しそうに幼子は聞き入る。
「何ていう顔をしとる」
「……何がですか?」
義武の言葉に一哉は怪訝そうな顔をする。
「さっきのお前の言葉じゃないが、鏡を持ってきてやろうか? 自分の祖母を相手におちびさんを取られたと不機嫌になってどうする……」
「……気のせいでしょう?」
まさしく指摘どおりではあるが、一哉がそれを認める訳ではなく。義武は溜め息をつく。
「こりゃ、将来、娘ができた時が見物だな」
楽しげな祖父の表情に一哉は眉間の皺を増やすばかりであった。
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「おじいちゃんはかずやおにいちゃんにはあいたくなかったの?」
あどけなく問い掛けてくる幼子に義武は遠い目になる。
「実の孫は可愛げがないからな……。会おうと思えば会える孫は口ばかりが達者でな……」
「お生憎ですが、そう育てたのは、どなたですか? 全身を映せる鏡を用意させますか? それとも、耄碌されましたか?」
丁丁発止のやりとりに幼子はぽかんとして、蘭に問い掛けた。
「おじいちゃんとおにいちゃん、なかわるいの?」
幼子の無邪気な問い掛けに蘭は困ったように笑う。
「あのね、仲がいいから、言いたいことを言い合えるの。でも、むぎちゃんには聞かせたくはないから、おばあちゃんと一緒に遊びましょうか?」
「かずやおにいちゃんがいいっていったら、あそぶ……」
そう言って、幼子は一哉を見上げる。ニコニコと蘭も一哉を見ていて。無言の圧力が自分にかかるのを一哉は感じた。
「むぎはどうしたい?」
まずは幼子の意思確認だ。自分に気を遣って、遊びたいのに遊べないのでは意味がない。
「むぎ、おばあちゃんとどうやってあそぶのかわかんない……」
姉や年の近い友達となら、おままごとや隠れんぼ、鬼ごっこ等、色々遊んできた。今も、ラ・プリンスたちがそれぞれに遊んでくれるけれど。おばあちゃんくらいの人とは遊んだことがないらしい。
あどけなく問い掛けてくる幼子に義武は遠い目になる。
「実の孫は可愛げがないからな……。会おうと思えば会える孫は口ばかりが達者でな……」
「お生憎ですが、そう育てたのは、どなたですか? 全身を映せる鏡を用意させますか? それとも、耄碌されましたか?」
丁丁発止のやりとりに幼子はぽかんとして、蘭に問い掛けた。
「おじいちゃんとおにいちゃん、なかわるいの?」
幼子の無邪気な問い掛けに蘭は困ったように笑う。
「あのね、仲がいいから、言いたいことを言い合えるの。でも、むぎちゃんには聞かせたくはないから、おばあちゃんと一緒に遊びましょうか?」
「かずやおにいちゃんがいいっていったら、あそぶ……」
そう言って、幼子は一哉を見上げる。ニコニコと蘭も一哉を見ていて。無言の圧力が自分にかかるのを一哉は感じた。
「むぎはどうしたい?」
まずは幼子の意思確認だ。自分に気を遣って、遊びたいのに遊べないのでは意味がない。
「むぎ、おばあちゃんとどうやってあそぶのかわかんない……」
姉や年の近い友達となら、おままごとや隠れんぼ、鬼ごっこ等、色々遊んできた。今も、ラ・プリンスたちがそれぞれに遊んでくれるけれど。おばあちゃんくらいの人とは遊んだことがないらしい。
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「あのね、おにいちゃんはわるくないの。むぎが……」
言いかけて、言葉が途切れる。家族から不意に離れて、一人になった時のことがフラッシュバックしたのだろう。大きな瞳に涙が浮かんで来る。
「むぎ、いいから。な……」
「う~」
ポンポンと背中を叩いてあやすのもすっかり様になってしまった。子供の扱いなど知らなかったはずなのに。
「あらあら。辛い思いもしたのね…」
たぶん勘違いだろうが、その方が一哉的にも都合はよい。
「とにかく、話がそれだけなら、帰りますよ」
「まぁ、待て」
踵を返そうとする一哉を制して、一哉の祖父、御堂義武は一哉の腕に抱かれている幼子の顔を覗きこむ。
「ジジが嫌な思いをさせて悪かったな、小さなお嬢さん」
「おじいちゃん、かずやおにいちゃんをおこってない?」
恐る恐ると言った顔で幼子が一哉に尋ねると、義武は穏やかに微笑んで見せた。
「もちろん。貴美子に…一哉の母親にお嬢さんの話を聞いてな、会ってみたくなったんだよ」
「とても可愛くて、良い子だと聞いていたの。だから、会いたくなって」
一哉の祖母の蘭もそう言うと、幼子はキョトンとした顔になる。
「むぎに? かずやおにいちゃんじゃなくて?」
一哉の祖父母なら一哉に会いたがるのではないのかと幼子は小首を傾げて、一哉と老夫婦を見比べた。
言いかけて、言葉が途切れる。家族から不意に離れて、一人になった時のことがフラッシュバックしたのだろう。大きな瞳に涙が浮かんで来る。
「むぎ、いいから。な……」
「う~」
ポンポンと背中を叩いてあやすのもすっかり様になってしまった。子供の扱いなど知らなかったはずなのに。
「あらあら。辛い思いもしたのね…」
たぶん勘違いだろうが、その方が一哉的にも都合はよい。
「とにかく、話がそれだけなら、帰りますよ」
「まぁ、待て」
踵を返そうとする一哉を制して、一哉の祖父、御堂義武は一哉の腕に抱かれている幼子の顔を覗きこむ。
「ジジが嫌な思いをさせて悪かったな、小さなお嬢さん」
「おじいちゃん、かずやおにいちゃんをおこってない?」
恐る恐ると言った顔で幼子が一哉に尋ねると、義武は穏やかに微笑んで見せた。
「もちろん。貴美子に…一哉の母親にお嬢さんの話を聞いてな、会ってみたくなったんだよ」
「とても可愛くて、良い子だと聞いていたの。だから、会いたくなって」
一哉の祖母の蘭もそう言うと、幼子はキョトンとした顔になる。
「むぎに? かずやおにいちゃんじゃなくて?」
一哉の祖父母なら一哉に会いたがるのではないのかと幼子は小首を傾げて、一哉と老夫婦を見比べた。