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一時的置き場
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「あら、皇を知っているの?」
「うん、いおりおにいちゃんにあいに、おうちにときどきくるの。むぎもあったの」
「おうちって、御堂家ね……。そう……」
 何事かを思案し始める真弓に依織は微苦笑を浮かべる。経験上、こう言う時の真弓は自分に正直な行動に走るのだ。
「皇はそろそろ稽古が終わる時間よね。呼びましょうか。稽古場からタクシーを使えば、すぐだし」
「皇も、ですか……?」
 さすがに依織もこの展開は想定していなかった。
「こんなに可愛い女の子を二人して私に秘密にしていたなんて、ずるいと思わない?」
「いえ、まったく」
 きっぱりと言い切るが、それで納得してくれるとも思わない。
「ご飯はみんなで食べた方が美味しいわよね~、こむぎちゃん?」
「うん♪ いつも、みんなでたべるとおいしいの」
 素直に頷く幼子。こちらを先に懐柔されては、依織も打つ手はなく。
「卑怯ですよ、真弓さん……」
「ふふ、何とでもおっしゃい」
 依織の言葉に真弓はそう言って微笑んだ。

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「あら、可愛らしいこと」
「でしょう?」
 当然のように答える依織に真弓は意外そうな顔をする。
「随分と可愛がってるのね」
「大切な預かりものですから」
 そう言って、依織はむぎを抱き上げる。嘘は言ってはいない。幼子は異自分達が知る16さいのむぎに繋がる大切な存在。たくさんの愛情を注ぎたいと思う。
「いおりおにいちゃんとにてるの……」
 真弓の顔を正面から見て、幼子は呟く。
「僕はお母さん似だからね」
「うん。だから、きれいなのね」
 二人を指しているらしい言葉。
「ふふ、素直な子ね」
 そう言って、真弓は幼子の頭をなでてやる。
「こうおにいちゃんは、いおりおにいちゃんのおとうさんににてるの?」
 依織が母親似なら…と想像したらしい。だが、真弓はその言葉に反応した。

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「じゃあ、これからお兄ちゃんとデートしようか」
「うん♪」
 幼子をチャイルドシートで固定する。
「もう、お昼だね。まずはご飯にしようか」
「ごはん~♪」
 依織の提案に幼子は諸手を上げる。依織は馴染みのレストランに連絡を入れ、車を発進させた。


「着いたよ、お姫様」
「うん」
 幼子を抱き上げて、車から降ろしてやる。
「あら、依織じゃない?」
 幼子の手を引いて、店に入ろうとすると、依織を呼び止める声。
「真弓さん……」
「久しぶりね、依織……」
 そう言って、微笑む女性に幼子は依織を見上げて問い掛ける。
「いおりおにいちゃん、だぁれ?」
「僕のお母さんだよ、こむぎちゃん」
「いおりおにいちゃんのおかあさん……」
 幼子は依織と女性を見比べる。
「小さい子はドラマは見ないわね……。こんにちは、依織の母の春日真弓よ。こむぎちゃん、だったわね?」
「こんにちは、いおりおにいちゃんのおかあさん」
 小さくお辞儀するその仕種に真弓は目を細めた。
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