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一時的置き場
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「さ、メシにするぜ。腹が減ってるだろう?」
「うん……」
 離れがたいのか、幼子はためらいがちに返事をする。一哉はそんな幼子を抱き上げてやると、幼子は一哉の首にギュッとしがみついた。



「うわ、寿司かよ。豪勢だな……」
 恐らくは値段には時価しかないようなすし店のものと思われる四人分の寿司と綺麗な彩りの手毬寿司。
「寿司なら、冷める心配はいらないからな。手毬寿司はむぎのだ」
「そこで寿司が出てくるのが、一哉だね……」
 その思考でいくなら、サンドイッチやおにぎりとかという発想だと思うのではあるが、一哉である所以かもしれない。
「かわいいの……」
 手毬寿司に見入る幼子に顔を彼らは見合わせて笑う。
「気に入ったのなら、また頼んでやるよ」
「うん!」
 一哉の言葉に幼子は嬉しそうに頷く。
「また、こむぎちゃんにぷち家出させて、頼む気?」
 瀬伊の言葉に一哉は不機嫌そうな顔を隠さない。
「おにいちゃんたち、たべないの?」
 そんな彼らを幼子は不思議そうに見上げるのであった。


END
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「ちび、お前に嫌いつったんだろ? だから、お前がちびを嫌いになったんじゃないかって、心配してたんだよ」
「言われはしたが、嫌いと言われたから、自分も相手を嫌いになるほどは、俺は短絡的じゃないが……」
「御堂はそうでも、ちびはそう思ったんだよ。だから……」
 麻生の言葉に何とも言えない気持ちになる。ギュッとしがみつくその小さな手の強さは幼子の気持ちをそのまま表しているような気がした。
「馬鹿だな……」
 そう呟いて、一哉は自分にしがみつく幼子の手に自分のそれを重ねた。
「かずやおにいちゃん?」
「嫌いになるわけがないだろう? お前を見つけたのは俺なんだから……」
「ほんとう?」
「あぁ……。だから、安心しろ」
 この目の前の幼子も、今もまだ眠り続けるむぎも、一哉が見つけた存在だ。途中で見放すつもりなどあるはずがない。
「かずやおにいちゃん、ごめんなさい……」
 ぽろぽろと泣きじゃくり始めた幼子を一哉は慌てて抱き上げる。
「泣かなくていい……。俺も悪かったから……」
 そう言いながら、一哉は不器用に幼子をあやすと、幼子は一哉にギュッと抱き着いた。
「なんかさ、小さくてもやっぱりむぎちゃんだ……」
「瀬伊?」
 瀬伊の呟きに依織はどうかしたのかと聞いてみる。
「僕だったら、あんなに素直に謝れない……。むぎちゃんだからな……」
 どこか寂しげな瀬伊の表情に、依織はそれ以上問うことはしなかった。
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「おかえり、こむぎちゃん。…と、松川さん、羽倉」
 家に入ると、玄関では瀬伊が出迎えてくれた。
「瀬伊、帰って来てたのかい?」
「うん。松川さんが出た後に、ね」
 依織に答えながら、瀬伊は幼子の顔をのぞきこむ。
「ただいま、せいおにいちゃん」
「おかえり。帰って来たら、こむぎちゃんがいないから、お兄ちゃん寂しかったな」
「…ごめんなさい」
「だから、今度は僕とデートしようね♪」
 そう言いながら、瀬伊は幼子を依織から受け取り、降ろしてやる。
「かずやおにいちゃんは?」
「一哉はさっきは自分の部屋にいたみたいだけど……」
 そう言いながら、瀬伊が階段に目を向けると、
「今、帰ってきたのか」と、タイミングを図ったかのように一哉が二階から降りて来た。
「かずやおにいちゃん……」
 じっと自分を見上げて来る幼子に一哉は目を合わせずに、
「メシは頼んである。羽倉、面倒をかけて悪かったな。松川さんもわざわざすまない」
と、それだけを言って、立ち去ろうとする一哉に幼子は慌てて、抱き着いた。
「むぎ?」
「ごめんなさい……。むぎ、おにいちゃんのこと、きらいじゃないの」
「?」
「おにいちゃんのこと、きらいっていって、ごめんなさい……。むぎをきらいにならないで……」
 小さな手で必死にしがみつき、訴えてくる幼子に一哉は戸惑う。自分。幼子を嫌いになる…、そんなことはあるはずもないのに。そんな一哉に麻生が言った。
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