一時的置き場
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フルキスSS
「麻生くんは獅子座だよね。守護星は太陽なんだよ」
シーツを取り込みながら、むぎはそんなことを麻生に言ったが、言われた方の麻生はピンと来ない。
「んなこと言われても、よくわかんねーよ」
「そうなの?」
星占いはテレビでやっていたら見る程度で、興味があるわけではない。守護星とか言われても、ピンとくるはずもない。
「でも、麻生くんらしいと思うよ。太陽は情熱とか、激しさとかそういうものの象徴だし。夏生まれの麻生くんにはぴったりだよ」
「まぁ、暑いのは嫌いじゃねーから名。蒸し暑いのはともかく」
「はは、そうだね。お日様にシーツやお布団を干すとあったかくて、ふわふわになるし」
「それ、守護星と関係ねー」
そんなことを言いながら、シーツを取り込むむぎを手伝う麻生である。
「そう言えばさ、獅子座の人はリーダー格の人が多いんだって。で、人がたくさん周りに集まるんだって。その反面、短気で寂しがりやなんだって」
「……別に寂しくなんてないけど、な」
仲間内で騒いだ後、帰宅してみれば、奇妙な寂寥感に襲われたことはあるけれど、今はそんなことはない。
「や、別にそういうことを言いたいんじゃないけど、さ。もしも、ね。寂しくなったら言ってね? あたしが傍にいてあげるから」
「……おまえ、な」
あどけない瞳で見上げてくるむぎに何ともいえない感情を覚える。何も考えずにいっているのだろうけれども、今の自分が寂しくないのは目の前の少女がこの家にやってきてからで。
「俺は今は寂しくないからいいんだって」
そう言って、笑うことが精一杯だった。
シーツを取り込みながら、むぎはそんなことを麻生に言ったが、言われた方の麻生はピンと来ない。
「んなこと言われても、よくわかんねーよ」
「そうなの?」
星占いはテレビでやっていたら見る程度で、興味があるわけではない。守護星とか言われても、ピンとくるはずもない。
「でも、麻生くんらしいと思うよ。太陽は情熱とか、激しさとかそういうものの象徴だし。夏生まれの麻生くんにはぴったりだよ」
「まぁ、暑いのは嫌いじゃねーから名。蒸し暑いのはともかく」
「はは、そうだね。お日様にシーツやお布団を干すとあったかくて、ふわふわになるし」
「それ、守護星と関係ねー」
そんなことを言いながら、シーツを取り込むむぎを手伝う麻生である。
「そう言えばさ、獅子座の人はリーダー格の人が多いんだって。で、人がたくさん周りに集まるんだって。その反面、短気で寂しがりやなんだって」
「……別に寂しくなんてないけど、な」
仲間内で騒いだ後、帰宅してみれば、奇妙な寂寥感に襲われたことはあるけれど、今はそんなことはない。
「や、別にそういうことを言いたいんじゃないけど、さ。もしも、ね。寂しくなったら言ってね? あたしが傍にいてあげるから」
「……おまえ、な」
あどけない瞳で見上げてくるむぎに何ともいえない感情を覚える。何も考えずにいっているのだろうけれども、今の自分が寂しくないのは目の前の少女がこの家にやってきてからで。
「俺は今は寂しくないからいいんだって」
そう言って、笑うことが精一杯だった。
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「一哉くんはみずがめ座だから、天王星だね」
愛も変わらず、星占いの本を手にむぎがそんなことを口にする。
「下らんな。星占いなんざ。人間の性格を12分割できるとでも思っているのか? 血液型占いも叱り、だがな」
「そんなこというけど、本格的に占うのって、結構難しいよ? 何ていうか、生まれた時間とかそういうのも影響するんだって」
「ああ、占星術は一種の統計学のようなものだしな。まぁ、お前の頭じゃ難しいに決まってる」
「むぅ、馬鹿にして……。だいたい、12分の1でもあたってるよ。『頭の回転が早く知性的で、なおかつ独創的。物事を合理的に考えるため、感情に流されることなくクールに行動することができます。』って、一哉くんってかんじじゃない? で、守護星の天王星は自由な知恵をもたらすんだって~。何か、ずるくない?」
「お前が馬鹿なのは星座や守護星のせいじゃないから安心しろ」
「何よ~」
自分から、話題を振ってきたのにむくれるのはどういうことだとは思いつつ、口にはしない。そのほうが賢明であるからだ。
「あ、でも。これは間違ってるかも」
「何がだ?」
「うん。牡牛座の人との相性なんだけど、『牡牛座生まれの人には水瓶座生まれのあなたは、わがままで理解に苦しむ人としか見えません』ってことなんだけどね……」
むぎが指しているのはこの家の牡牛座生まれの住人のことなのだろう。察して余りある。
「俺が理解できないってのは認めよう……」
…と、まぁ、こういうことである。微妙な沈黙が2人の間で流れた。
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フルキスSS
「依織くんと瀬伊くんって、守護星は一緒なんだね~」
昼下がり。御堂家の住人たちはむぎの作ったシフォンケーキをおやつにのんびりと過ごす午後。珍しく、家主である一哉も次の仕事までに時間があるので、新聞を読んでいる。そんな中、ティーンズ向けの雑誌を読んでいたむぎはふとそんなことを口にした。
「何の話?」
「ほら、これ」
瀬伊が尋ねると、むぎは雑誌の記事を瀬伊に指し示す。記事の内容はこの年頃の少女なら、興味を持たないはずがない占い特集。その中の定番中の定番、星占いである。
「依織くんは天秤座、瀬伊くんは牡牛座でしょ? 守護星は金星なの。2人とも芸術系だから、ぴったりだよね~」
元歌舞伎役者とピアニストの卵。方向性は違えども、芸術系の2人の守護星が同じというところがむぎは気になったらしい。
「愛と美の女神の加護…か。でも、僕には必要ないかな」
そう言って、依織はむぎの髪を一房手に取る。
「い、依織くん?」
固まるむぎの髪にそっと口付けを落として、依織は言葉を続ける。
「ここに僕の女神はいるから、ね……」
それはそれは優雅な動きで、抵抗することもままならないむぎの手を今度は瀬伊が強く握り締めて。
「松川さん、ずるーい。でも、僕も、むぎちゃんがいれば、女神様のかごは要らないや……。元美術教師だし、美はこれで補って、愛は僕が与えるから♪」
ちゅっと手の甲に口付ける始末。
「な、何なのよ~」
自分は星占いからの話の派生なのに、どうしてそうなるのか? 話す気のない2人はにっこりと笑うだけ。蚊帳の外の一哉は苦々しげに眉間にしわを寄せ、麻生はどう助け舟を出すべきかと思案に暮れた。
昼下がり。御堂家の住人たちはむぎの作ったシフォンケーキをおやつにのんびりと過ごす午後。珍しく、家主である一哉も次の仕事までに時間があるので、新聞を読んでいる。そんな中、ティーンズ向けの雑誌を読んでいたむぎはふとそんなことを口にした。
「何の話?」
「ほら、これ」
瀬伊が尋ねると、むぎは雑誌の記事を瀬伊に指し示す。記事の内容はこの年頃の少女なら、興味を持たないはずがない占い特集。その中の定番中の定番、星占いである。
「依織くんは天秤座、瀬伊くんは牡牛座でしょ? 守護星は金星なの。2人とも芸術系だから、ぴったりだよね~」
元歌舞伎役者とピアニストの卵。方向性は違えども、芸術系の2人の守護星が同じというところがむぎは気になったらしい。
「愛と美の女神の加護…か。でも、僕には必要ないかな」
そう言って、依織はむぎの髪を一房手に取る。
「い、依織くん?」
固まるむぎの髪にそっと口付けを落として、依織は言葉を続ける。
「ここに僕の女神はいるから、ね……」
それはそれは優雅な動きで、抵抗することもままならないむぎの手を今度は瀬伊が強く握り締めて。
「松川さん、ずるーい。でも、僕も、むぎちゃんがいれば、女神様のかごは要らないや……。元美術教師だし、美はこれで補って、愛は僕が与えるから♪」
ちゅっと手の甲に口付ける始末。
「な、何なのよ~」
自分は星占いからの話の派生なのに、どうしてそうなるのか? 話す気のない2人はにっこりと笑うだけ。蚊帳の外の一哉は苦々しげに眉間にしわを寄せ、麻生はどう助け舟を出すべきかと思案に暮れた。