一時的置き場
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こむぎSS
ポケットにいれていた携帯の振動に一哉は気付くと、微かに顔をしかめる。秘書には授業時間を把握させてあるから、緊急の懸案があるとはいえ、授業中に電話等はして来るはずがない。時間を選ばないのなら、よほどのことだろう。
(今。手掛けている案件で厄介なのはないはずだが……)
そうは思っていても、確認しない限りは簡単には判断ができない。
「すみません、先生」
講義中の教師に緊急の連絡が入った旨を伝え、教室を出る。御堂一哉だからこそ、許されることだ。
「……むぎ?」
着信メールの差出人を見て、一哉は首を傾げる。携帯は持たせてあるが、迷子札がわりだ。(そのためにGPS機能をつけた携帯を持たせている)携帯の使い方は教えていないし、ましてやまだ字が読めないので、メールを使いこなせるわけもなく。
(……学園長か、瀬戸口か? むぎが腹でも壊したか?)
疑問に思いながらも、メールを一哉は開き、そして、困惑した。
『件名:迷子預り中
本文:校舎裏にいる
:添付ファイルあり』
添付ファイルとしてついていたのはにっこりと笑顔の幼子の画像。
次の瞬間、一哉は走り出していた。
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「やーん、くじょーくん」
そう言いながらも、九条に手に髪をかき混ぜられてニコニコと無邪気に笑う幼子の姿に先ほどの涙の面影はとうになくなっていた。
「今泣いたカラスがってか……」
「カラス?」
「いや、こっちの話だ」
笑顔もまたあの美術教師に重なって見えただなんて認めたくもなく。自分には怒った顔だったり、困った顔ばかり向けられていたから、笑顔なんて誰かと一緒にいるところで見掛けただけだ。だから、本当に重なって見えただなんて、わかるはずがない。
「こっち向いてろよ」
手にした携帯のカメラ機能を起動して幼子に向けると、幼子はきょとんとした顔になる。
「なぁに?」
「写真撮ってやるから」
「それでとれるの?」
興味津津に見上げて来る幼子をまずは撮って。
「ほら」
「わぁ~。むぎがうつってる~」
撮った画面を見せてやると、携帯の画面に写された自分の顔に幼子は目を丸くしている。
「ほら、もう一回撮ってやるよ」
「うん♪」
九条の言葉に幼子は満面笑顔を見せて。九条は撮れた画像を確認すると、幼子の携帯に登録されている数少ないアドレス宛にメールを送信した。
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「さて、と……」
機種やメーカーが違っても、基本的な操作は変わらないだろうと、アドレス帳を開いてふと思った。
「俺が連絡したら、マズい、か……」
御堂一哉に連絡するのが一番だろうが、今は授業中であるし、幼子の携帯電車から自分がかけたら怪しまれるだろう。
「……。おい、御堂に掛けてみろよ」
「むぎ?」
九条に携帯を返されて、むぎは困ったような顔をする。
「おにいちゃんがいないから、むぎ、おでんわできないの」
「……は?」
「おにいちゃんたちがいるときに、むぎが『もしもし』ってやったら、おにいちゃんたちでてくれるの」
「ままごとかよ……」
どうみても、最新機種の携帯は御守がわりにしか用を為してしないらしい。(GPSがついているのは幼子の居場所を把握するためなのだろうと簡単に察せられる)
「しかし、あの連中、何やってんだか……」
幼子から聞いたとしても、想像がつくはずがない。…というより、脳が想像を拒否する。
「くじょーくん、どうしたの?」
そんな九条を幼子は不思議そうに見上げてきて。改めて、九条は目の前の幼子に自分のペースが乱されていると実感する。あの美術教師の時のように。
「何でもねえよ」
そう言って、幼子の頭をくしゃくしゃに撫でると、幼子は嬉しそうに歓声をあげた。
機種やメーカーが違っても、基本的な操作は変わらないだろうと、アドレス帳を開いてふと思った。
「俺が連絡したら、マズい、か……」
御堂一哉に連絡するのが一番だろうが、今は授業中であるし、幼子の携帯電車から自分がかけたら怪しまれるだろう。
「……。おい、御堂に掛けてみろよ」
「むぎ?」
九条に携帯を返されて、むぎは困ったような顔をする。
「おにいちゃんがいないから、むぎ、おでんわできないの」
「……は?」
「おにいちゃんたちがいるときに、むぎが『もしもし』ってやったら、おにいちゃんたちでてくれるの」
「ままごとかよ……」
どうみても、最新機種の携帯は御守がわりにしか用を為してしないらしい。(GPSがついているのは幼子の居場所を把握するためなのだろうと簡単に察せられる)
「しかし、あの連中、何やってんだか……」
幼子から聞いたとしても、想像がつくはずがない。…というより、脳が想像を拒否する。
「くじょーくん、どうしたの?」
そんな九条を幼子は不思議そうに見上げてきて。改めて、九条は目の前の幼子に自分のペースが乱されていると実感する。あの美術教師の時のように。
「何でもねえよ」
そう言って、幼子の頭をくしゃくしゃに撫でると、幼子は嬉しそうに歓声をあげた。