一時的置き場
Category :
こむぎSS
「五日後、僕と一哉で迎えに行くから」
「はい、わかりました」 依織の実家の行事関係が五日後に終わるので、依織が迎えに行く心づもりだったのだが、一哉が出張のスケジュールを切り詰めて、それに合わせてきたのだ。ちなみに麻生と瀬伊の修学旅行は一週間である。
「むぎ、丘崎さんにわがまま言って困らせては駄目だぞ。うちとは違うんだからな」
「うん」
一哉の言葉に幼子は神妙に頷く。
「御堂さん、なんだか、お父さんですね……」
「でも、ちびに一番甘いのが御堂なんだけどな……」
「あ~。わかります」
お着替えセットもおもちゃも幼子のためだけに用意されていたものなのだろう。一流かつ優良ブランドなものばかりだ。「毎日電話するし、もし、寂しくなったら電話するんだぞ。やりかたは覚えてるな」
「うん。ここをおすの」
「よし、それでいい」
携帯を手に真剣に語る一哉を見て、夏実は何とも言えない気持ちになる。
「御堂さん、海外でしたよね……」
「衛星のだからね。世界中のどこにいても受けられるし……」
そう語る依織の目はどこか遠い。大体、依織が国内にいるのだから、依織でいいんじゃないかと思いはするが、深く追及してはいけないのだろう。
「やっぱり、僕も残って、こむぎちゃんと一緒に丘崎さんちの子になろうかな……」
「一宮さん……」
大きくても、小さい姿でも何だかんだと溺愛されている親友のことを喜ぶべきなのか、苦笑すべきなのか、夏実は複雑な気分であった。
「はい、わかりました」 依織の実家の行事関係が五日後に終わるので、依織が迎えに行く心づもりだったのだが、一哉が出張のスケジュールを切り詰めて、それに合わせてきたのだ。ちなみに麻生と瀬伊の修学旅行は一週間である。
「むぎ、丘崎さんにわがまま言って困らせては駄目だぞ。うちとは違うんだからな」
「うん」
一哉の言葉に幼子は神妙に頷く。
「御堂さん、なんだか、お父さんですね……」
「でも、ちびに一番甘いのが御堂なんだけどな……」
「あ~。わかります」
お着替えセットもおもちゃも幼子のためだけに用意されていたものなのだろう。一流かつ優良ブランドなものばかりだ。「毎日電話するし、もし、寂しくなったら電話するんだぞ。やりかたは覚えてるな」
「うん。ここをおすの」
「よし、それでいい」
携帯を手に真剣に語る一哉を見て、夏実は何とも言えない気持ちになる。
「御堂さん、海外でしたよね……」
「衛星のだからね。世界中のどこにいても受けられるし……」
そう語る依織の目はどこか遠い。大体、依織が国内にいるのだから、依織でいいんじゃないかと思いはするが、深く追及してはいけないのだろう。
「やっぱり、僕も残って、こむぎちゃんと一緒に丘崎さんちの子になろうかな……」
「一宮さん……」
大きくても、小さい姿でも何だかんだと溺愛されている親友のことを喜ぶべきなのか、苦笑すべきなのか、夏実は複雑な気分であった。
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Category :
こむぎSS
「そういうわけなので、丘崎さん、お願いできないだろうか?」
ラ・プリンス全員にこうして頼まれごとをされるなんて機会は滅多にあることではないなぁ…と夏実は一瞬遠い目になる。
「ほら、むぎ」
一哉に促されて、幼子はちょこんとお辞儀をして言った。
「おねえちゃん、おせわになります」
「夏実でいいよ」
「じゃあ、なつみちゃん……?」
幼子にとって、自分よりずっと大きなお姉さんを名前で呼び捨てにするのは抵抗があるらしい。
「すまないね、夏実ちゃん」
依織の言葉に夏実は笑って首を振る。
「いえ……。うちは構いませんよ。両親もお兄ちゃんも大歓迎してくれます」
むぎが倒れ、幼子の姿になったとラ・プリンスから聞いた時、夏実は引き取りを希望していた。彼らが幼子を手放したがらず、幼子もラ・プリンスから離れたがらなかったのでそれはかなわなかったが、両親と兄にむぎの事情を説明しておいた。信じられなかった様子の家族も最終的にはしんじてくれ、いつでも幼子を預かる心づもりだったのだ。
「必要経費は後で領収書を出してくれればいい。御堂で取ってくれ」
「いや、そこまでは……」
お着替えセットもおもちゃも既に丘崎家に運び込まれていて。あとは夏実が幼子を引き取るだけなのだ。必要経費といえば、滞在中の食費くらいだし、そのくらい家でも出すつもりであった。
ラ・プリンス全員にこうして頼まれごとをされるなんて機会は滅多にあることではないなぁ…と夏実は一瞬遠い目になる。
「ほら、むぎ」
一哉に促されて、幼子はちょこんとお辞儀をして言った。
「おねえちゃん、おせわになります」
「夏実でいいよ」
「じゃあ、なつみちゃん……?」
幼子にとって、自分よりずっと大きなお姉さんを名前で呼び捨てにするのは抵抗があるらしい。
「すまないね、夏実ちゃん」
依織の言葉に夏実は笑って首を振る。
「いえ……。うちは構いませんよ。両親もお兄ちゃんも大歓迎してくれます」
むぎが倒れ、幼子の姿になったとラ・プリンスから聞いた時、夏実は引き取りを希望していた。彼らが幼子を手放したがらず、幼子もラ・プリンスから離れたがらなかったのでそれはかなわなかったが、両親と兄にむぎの事情を説明しておいた。信じられなかった様子の家族も最終的にはしんじてくれ、いつでも幼子を預かる心づもりだったのだ。
「必要経費は後で領収書を出してくれればいい。御堂で取ってくれ」
「いや、そこまでは……」
お着替えセットもおもちゃも既に丘崎家に運び込まれていて。あとは夏実が幼子を引き取るだけなのだ。必要経費といえば、滞在中の食費くらいだし、そのくらい家でも出すつもりであった。
Category :
フルキスSS
「だったら、俺らが知る人間で、ちびも知ってて、俺たちの方を取ってくれる人間で……」
言いかけて、麻生は固まる。
「思いあたる人物でもいるのかい?」
依織の言葉に麻生は困ったような顔になる。
「いや……。その……」
「はっきりしない奴だな、思いあたるのなら、さっさと言ったらどうだ?」
言い淀む麻生に一哉が促す。麻生は深く溜め息を吐いて言った。
「御堂の母親……。前に来た時にちびのこと可愛がってくれてただろ」
ボソリと言った言葉はある意味、地雷でもあった。
「……。羽倉。その案は今すぐに記憶から消せ。間違っても、口外するな」
麻生の言葉を促した当の本人が一刀両断。普通なら身勝手だと麻生に怒られたりはするはずが、そうはならないのが以前、一哉の母である御堂貴美子が訪れた時に対応したのがこの二人だったからだ。約半日と言う短い時間だったにも関わらず、幼子のみならず。一哉と麻生に大きな疲れをもたらした。
「しかたない、丘崎さんに頼もう。母に頼むくらいなら、まだ丘崎さんに預ける方がいい」
「御堂……」
切り替えが早いのも、ある意味、優秀な経営者の才能かもしれない。そんなことを麻生は思った。
言いかけて、麻生は固まる。
「思いあたる人物でもいるのかい?」
依織の言葉に麻生は困ったような顔になる。
「いや……。その……」
「はっきりしない奴だな、思いあたるのなら、さっさと言ったらどうだ?」
言い淀む麻生に一哉が促す。麻生は深く溜め息を吐いて言った。
「御堂の母親……。前に来た時にちびのこと可愛がってくれてただろ」
ボソリと言った言葉はある意味、地雷でもあった。
「……。羽倉。その案は今すぐに記憶から消せ。間違っても、口外するな」
麻生の言葉を促した当の本人が一刀両断。普通なら身勝手だと麻生に怒られたりはするはずが、そうはならないのが以前、一哉の母である御堂貴美子が訪れた時に対応したのがこの二人だったからだ。約半日と言う短い時間だったにも関わらず、幼子のみならず。一哉と麻生に大きな疲れをもたらした。
「しかたない、丘崎さんに頼もう。母に頼むくらいなら、まだ丘崎さんに預ける方がいい」
「御堂……」
切り替えが早いのも、ある意味、優秀な経営者の才能かもしれない。そんなことを麻生は思った。