一時的置き場
Category :
こむぎSS
「こむぎちゃん、僕も混ぜて♪」
「うん、せいおにいちゃん」
傘をさして現れた瀬伊に幼子は嬉しそうに駆け寄る。
「珍しいな……」
戸惑うのは麻生だけで。
「何が?」
「こういう遊びとかしたことなさそうじゃん」
「したことないよ? だから、何が楽しいのかなって思って」
「そっか……」
何となく理解はしたらしい。麻生は苦笑しながら言った。
「ガキのころ、泥遊びとかしたかったんだけでさ、姉貴がうるさかったから、あんまりできなくってさ。だから、ちびが外に出たがってんのに便乗しちまった」
「つまり、羽倉はこむぎちゃんと同じレベルってこと?」
「……ちょっとは。何となく探検気分ってやつ。いつもとは違う風景だし。楽しいよな、ちび」
そう言って、麻生が幼子に問い掛けると、幼子も満面の笑みで頷く。
「むぎ、たのしいの♪ あめのひはいつもなえちゃんとおうちであそんでて、おそとであそんだことなかったの」
「だよなぁ……」
幼子の外に出られない気分転換のためでもあったらしい。
「あのね、おにいちゃん。さっき、でんでんむしみつけたの♪ おっきいでんでんむしとちっちゃいの」
そう言って、幼子は瀬伊を手招きする。すると、そこには大小一匹ずつのかたつむりがいた。
「可愛いね。僕とこむぎちゃんみたい♪」
「そのかたつむりを見つけたのは俺なんだがな……」
麻生の言葉は当然無視する瀬伊であった。
「うん、せいおにいちゃん」
傘をさして現れた瀬伊に幼子は嬉しそうに駆け寄る。
「珍しいな……」
戸惑うのは麻生だけで。
「何が?」
「こういう遊びとかしたことなさそうじゃん」
「したことないよ? だから、何が楽しいのかなって思って」
「そっか……」
何となく理解はしたらしい。麻生は苦笑しながら言った。
「ガキのころ、泥遊びとかしたかったんだけでさ、姉貴がうるさかったから、あんまりできなくってさ。だから、ちびが外に出たがってんのに便乗しちまった」
「つまり、羽倉はこむぎちゃんと同じレベルってこと?」
「……ちょっとは。何となく探検気分ってやつ。いつもとは違う風景だし。楽しいよな、ちび」
そう言って、麻生が幼子に問い掛けると、幼子も満面の笑みで頷く。
「むぎ、たのしいの♪ あめのひはいつもなえちゃんとおうちであそんでて、おそとであそんだことなかったの」
「だよなぁ……」
幼子の外に出られない気分転換のためでもあったらしい。
「あのね、おにいちゃん。さっき、でんでんむしみつけたの♪ おっきいでんでんむしとちっちゃいの」
そう言って、幼子は瀬伊を手招きする。すると、そこには大小一匹ずつのかたつむりがいた。
「可愛いね。僕とこむぎちゃんみたい♪」
「そのかたつむりを見つけたのは俺なんだがな……」
麻生の言葉は当然無視する瀬伊であった。
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Category :
こむぎSS
「こむぎちゃん、ひよこみたい」
「あれ、か……」
黄色のレインコートに長靴と傘でちまちまと麻生と庭を歩く幼子の姿を一哉と瀬伊はリビングから眺めている。
「何が楽しいんだ?」
「さぁ?」
麻生と一緒に何かを覗き込んだりして、歓声をあげたりしていて、楽しそうではあるのだが、この雨の中をわざわざ出て行ってまで…とは思うん。
「羽倉も楽しそうなのが理解できないや」
幼子に付き合ってると言うだけではなく、麻生も楽しそうな顔。
「あいつなら、洗濯物が…とか言い出しかねないんだがな」
「そうだね……」
一哉の言葉に瀬伊も何ともいえない気分になる。有り得るはずのない光景は雨の中ということもあり、いつもより不安定に見えて。瀬伊はソファから立ち上がった。
「一宮?」
「僕もこむぎちゃんと遊んでくる」
「……先に風呂を沸かしてからにしておけ」
「いいの」
リビングから出て行った瀬伊に一哉は軽く溜め息をついた。
「あれ、か……」
黄色のレインコートに長靴と傘でちまちまと麻生と庭を歩く幼子の姿を一哉と瀬伊はリビングから眺めている。
「何が楽しいんだ?」
「さぁ?」
麻生と一緒に何かを覗き込んだりして、歓声をあげたりしていて、楽しそうではあるのだが、この雨の中をわざわざ出て行ってまで…とは思うん。
「羽倉も楽しそうなのが理解できないや」
幼子に付き合ってると言うだけではなく、麻生も楽しそうな顔。
「あいつなら、洗濯物が…とか言い出しかねないんだがな」
「そうだね……」
一哉の言葉に瀬伊も何ともいえない気分になる。有り得るはずのない光景は雨の中ということもあり、いつもより不安定に見えて。瀬伊はソファから立ち上がった。
「一宮?」
「僕もこむぎちゃんと遊んでくる」
「……先に風呂を沸かしてからにしておけ」
「いいの」
リビングから出て行った瀬伊に一哉は軽く溜め息をついた。
Category :
フルキスSS
「やだなあ、梅雨に入っちゃった……」
窓の外を見ながら、むぎは溜め息をつく。この時期は天気が鬱陶しくない、ジメジメするし、洗濯物をお日様に干せないし、買い物に行くのも、億劫なのだ。
「こんなところでぼんやりしてるとは、随分と優雅な身分の家政婦だな」
「一哉くん……」
じゃあ、あんたは偉そうじゃん…と言いたいのを我慢する。偉そうじゃなく、偉いんだと言われることは判り切っている。
「いや、雨の日って出歩くのが億劫でしょ。長靴はかなきゃ、足を滑らしちゃいそうだし。季節柄仕方ないとは思うんだけど……」
「なるほど……。だったら、こういうのはどうだ?」
「?」
一哉に紙の手提げ袋を渡される。手提げ袋の中には箱が入っていた。
「開けてみろよ」
「うん……」
言われるままに開けてみると、中にはショートブーツが入っていた。薔薇色のそれには、羽のモチーフが踝辺りに描かれていて、それがとても可愛い。
「ブーツ?」
「半分はあたりだな」
「もう半分は?」
興味津津と言った顔になるむぎに一哉は満足げな顔をする。
「それはレインブーツだ。うちの子会社の新製品でな。長靴に通気性とデザイン性を持たせたんだ」
「へぇ……。パッと見では長靴に見えない~」
「それが狙いだからな。雨が止んだとしても、普通にショートブーツとして履けるように敢えて通気性を持たせたんだ」
「へぇ」
関心したように箱の中の靴を見つめるむぎ。
「そういうわけだ。感想を楽しみにしてるぜ?」
「え?」
「雨の日の買い物も少しは嫌じゃなくなるだろ?」
「もらっていいの」
「サンプルをもらったんだが、この家で履けるのはお前しかいないしな」
何とも一哉らしい言い方にむぎはクスクス笑う。
「ありがとう、一哉くん」
「ああ……」
嬉しそうに笑うむぎに、一哉も満足げに頷いた。
窓の外を見ながら、むぎは溜め息をつく。この時期は天気が鬱陶しくない、ジメジメするし、洗濯物をお日様に干せないし、買い物に行くのも、億劫なのだ。
「こんなところでぼんやりしてるとは、随分と優雅な身分の家政婦だな」
「一哉くん……」
じゃあ、あんたは偉そうじゃん…と言いたいのを我慢する。偉そうじゃなく、偉いんだと言われることは判り切っている。
「いや、雨の日って出歩くのが億劫でしょ。長靴はかなきゃ、足を滑らしちゃいそうだし。季節柄仕方ないとは思うんだけど……」
「なるほど……。だったら、こういうのはどうだ?」
「?」
一哉に紙の手提げ袋を渡される。手提げ袋の中には箱が入っていた。
「開けてみろよ」
「うん……」
言われるままに開けてみると、中にはショートブーツが入っていた。薔薇色のそれには、羽のモチーフが踝辺りに描かれていて、それがとても可愛い。
「ブーツ?」
「半分はあたりだな」
「もう半分は?」
興味津津と言った顔になるむぎに一哉は満足げな顔をする。
「それはレインブーツだ。うちの子会社の新製品でな。長靴に通気性とデザイン性を持たせたんだ」
「へぇ……。パッと見では長靴に見えない~」
「それが狙いだからな。雨が止んだとしても、普通にショートブーツとして履けるように敢えて通気性を持たせたんだ」
「へぇ」
関心したように箱の中の靴を見つめるむぎ。
「そういうわけだ。感想を楽しみにしてるぜ?」
「え?」
「雨の日の買い物も少しは嫌じゃなくなるだろ?」
「もらっていいの」
「サンプルをもらったんだが、この家で履けるのはお前しかいないしな」
何とも一哉らしい言い方にむぎはクスクス笑う。
「ありがとう、一哉くん」
「ああ……」
嬉しそうに笑うむぎに、一哉も満足げに頷いた。