一時的置き場
Category :
こむぎSS
「で、どうして報告をしなかった? 察するにその子は普通の子供ではないのだろう?」
「答える義務はありませんね。報告せずとも、話はいってたかと思いますが。あぁ、こいつは俺を含む同居人の誰の子でもありませんから」
一哉がそう言うと、幼子は一哉の祖父母の方を向く。
「あのね、おにいちゃんたちはちがうの。むぎのおとうさんとおかあさんとおねえちゃんはちがうところにいるの……」
幼子の言葉に二人はハッとしたかのように顔を見合わせる。
「残念ながら、あなた方の想像とは違いますが。むぎは特殊な迷子のようなものです。だからこそ、ことを大きくしたくはなかったので」
幼子を宥めるように優しく撫でてやる一哉の手つきには何よりも深い愛情がこめられていて。幼子も絶対の信頼を一哉に寄せている。それだけで十分なのだということがいやが上にも理解できる。
「ならば、詮索するな…と解釈するが」
「解釈しなくても結構です。ただ、今の静かな生活に影響を及ぼさないのならね」
暗に口を出すなという一哉の態度に思うところがないわけではないが、一哉に抱かれている幼子には少なくとも罪はない。
「答える義務はありませんね。報告せずとも、話はいってたかと思いますが。あぁ、こいつは俺を含む同居人の誰の子でもありませんから」
一哉がそう言うと、幼子は一哉の祖父母の方を向く。
「あのね、おにいちゃんたちはちがうの。むぎのおとうさんとおかあさんとおねえちゃんはちがうところにいるの……」
幼子の言葉に二人はハッとしたかのように顔を見合わせる。
「残念ながら、あなた方の想像とは違いますが。むぎは特殊な迷子のようなものです。だからこそ、ことを大きくしたくはなかったので」
幼子を宥めるように優しく撫でてやる一哉の手つきには何よりも深い愛情がこめられていて。幼子も絶対の信頼を一哉に寄せている。それだけで十分なのだということがいやが上にも理解できる。
「ならば、詮索するな…と解釈するが」
「解釈しなくても結構です。ただ、今の静かな生活に影響を及ぼさないのならね」
暗に口を出すなという一哉の態度に思うところがないわけではないが、一哉に抱かれている幼子には少なくとも罪はない。
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こむぎSS
「こんにちは、かずやおにいちゃんのおじいちゃんとおばあちゃん」
そう言って、ぺこりとお辞儀をする幼子に老夫婦はまぁまぁと顔を見合わせる。
「可愛らしいわね~。貴美子が言ってたとおりだわ~」
一哉の祖母である蘭がそう言ってニコニコ笑うと、一哉は苦虫を噛み潰したような顔になる。幼子の存在を母の貴美子から、祖父母に知らされてしまったらしく、突然連れてこいと連絡がきたのだ。幼子のことはできるなら知られたくなかった一哉としては面白いはずがない。
「おにいちゃん、むぎ、いけなかった?」
恐る恐るといった顔で幼子は一哉を見上げて来る。一哉の機嫌が悪そうなことに気付いたのか、不安そうな顔。自分が悪いのかと、泣きそうな顔になる。
「い、いや。お前は悪くないから」
慌てて、そう言って、一哉は幼子を抱き上げる。
「まったく、そんなに小さな子供を怖がらせてどうする……。どうせ、家でもそんな感じで怖がらせてるんだろう?」
「大きなお世話です。いきなり、知らない人間のところに連れて来られたこいつが不安じゃないわけがない」
ギュッと自分の服を掴む小さな手に一哉はその背中を撫でてやった。
そう言って、ぺこりとお辞儀をする幼子に老夫婦はまぁまぁと顔を見合わせる。
「可愛らしいわね~。貴美子が言ってたとおりだわ~」
一哉の祖母である蘭がそう言ってニコニコ笑うと、一哉は苦虫を噛み潰したような顔になる。幼子の存在を母の貴美子から、祖父母に知らされてしまったらしく、突然連れてこいと連絡がきたのだ。幼子のことはできるなら知られたくなかった一哉としては面白いはずがない。
「おにいちゃん、むぎ、いけなかった?」
恐る恐るといった顔で幼子は一哉を見上げて来る。一哉の機嫌が悪そうなことに気付いたのか、不安そうな顔。自分が悪いのかと、泣きそうな顔になる。
「い、いや。お前は悪くないから」
慌てて、そう言って、一哉は幼子を抱き上げる。
「まったく、そんなに小さな子供を怖がらせてどうする……。どうせ、家でもそんな感じで怖がらせてるんだろう?」
「大きなお世話です。いきなり、知らない人間のところに連れて来られたこいつが不安じゃないわけがない」
ギュッと自分の服を掴む小さな手に一哉はその背中を撫でてやった。
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こむぎSS
「おや……?」
依織がリビングに入ると、ピンクの物体がまず目に入った。それが微かに動いている。
「なるほど……」
近付いてみると、ピンクのカモノハシに抱き着いて、すやすやと眠る幼子の姿。微かに動くのは、幼子の寝息に合わせてのようだ。
「こむぎちゃん、こんなところで寝ていたら、身体が痛くなるよ」
そう声をかけてみるが、幼子は夢の中から戻ってきてはくれない。
「こむぎちゃん、起きなさい」
軽く揺さぶってみると、今度は反応したのか、幼子は二、三度身じろいで、パチリと目を開く。
「お目覚めかな、お姫さま?」
依織がそう声をかけると、幼子はトロンとした瞳で依織を見上げる。まだ夢うつつらしい。
「むぎ、お姫さま?」
「そうだね。こむぎちゃんはこの家のお姫さまだよ」
あどけない問いに答えてやると、幼子ははにかんだように笑う。
「じゃあ、おにいちゃんはむぎの王子さま?」
「こむぎちゃんが僕を選んでくれるなら、ね」
「なら、むぎ、おにいちゃんのお姫さまになる……」
そう言うと、幼子起き上がって依織に抱き着く。
「こむぎちゃん……」
抱き着いて来たかと思えば、すやすやと眠りの中に。
「いけないお姫さまだね……。こんなに小さくても、俺を惑わせて……」
苦笑しながら、依織は幼子を抱き上げる。
「君が本当に目覚めたら、同じことを言ってくれたら嬉しいのだけれども……」
そう呟いて、柔らかな頬にキスを落とした。
依織がリビングに入ると、ピンクの物体がまず目に入った。それが微かに動いている。
「なるほど……」
近付いてみると、ピンクのカモノハシに抱き着いて、すやすやと眠る幼子の姿。微かに動くのは、幼子の寝息に合わせてのようだ。
「こむぎちゃん、こんなところで寝ていたら、身体が痛くなるよ」
そう声をかけてみるが、幼子は夢の中から戻ってきてはくれない。
「こむぎちゃん、起きなさい」
軽く揺さぶってみると、今度は反応したのか、幼子は二、三度身じろいで、パチリと目を開く。
「お目覚めかな、お姫さま?」
依織がそう声をかけると、幼子はトロンとした瞳で依織を見上げる。まだ夢うつつらしい。
「むぎ、お姫さま?」
「そうだね。こむぎちゃんはこの家のお姫さまだよ」
あどけない問いに答えてやると、幼子ははにかんだように笑う。
「じゃあ、おにいちゃんはむぎの王子さま?」
「こむぎちゃんが僕を選んでくれるなら、ね」
「なら、むぎ、おにいちゃんのお姫さまになる……」
そう言うと、幼子起き上がって依織に抱き着く。
「こむぎちゃん……」
抱き着いて来たかと思えば、すやすやと眠りの中に。
「いけないお姫さまだね……。こんなに小さくても、俺を惑わせて……」
苦笑しながら、依織は幼子を抱き上げる。
「君が本当に目覚めたら、同じことを言ってくれたら嬉しいのだけれども……」
そう呟いて、柔らかな頬にキスを落とした。